夜が明けたら君に幸せを。
汐江くんの考えていることが全くもって理解ができなくて頭の中をはてなが埋め尽くしていると、汐江くんに向かって誰かがどーんっ!とぶつかってきた。


…いや、抱きついてきた。



「あっさーひくんっ!」


「びっ…くりした」



汐江くんの腕にぎゅーとしがみついているツインテールの女の子が、私にチラリと視線を向けてきた。


まるで、汐江くんは私のもの、と牽制をしているかのように。



「ねえ、(もえ)とお昼食べいこー!」


「いいよ」



女子に抱きつかれ乱れた髪を、汐江くんがかきあげた時にきらりと何かが耳元で光ったのが見えた。


…うわ、この人、ピアス開けてる。



校則的にピアスを開けても別にいいことにはなっているが、個人的にピアスを開けている人にあまりいい印象はない。


思っていた通り、実際ピアスを開けている目の前の汐江くんはかなりちゃらい人だし。きっと相手が私のような女子でも、誰でもいいのだ。


とりあえず女の子とはみんな仲良くなっておきたい、というのが彼の心の内だろう。



…本当に、いっちばん関わりたくない人だ。
< 22 / 117 >

この作品をシェア

pagetop