夜が明けたら君に幸せを。
「明日香」



突然肩を引かれ、驚いて振り向くとなぜか怖い顔をした玲音が立っていた。



「どうした?なんかあった?」


「あ、違うの。別に何もないよ。もう話終わったし、行こう」



私が絡まれていると思って心配してくれたのだろう。



「あ、きさら…」



呼び止めてきた汐江くんを無視して、玲音と学校を出る。



「さっきの、同じクラスの汐江だろ?何もされなかった?」


「だから何もされてないって。連絡先聞かれただけで、それも教えてないし」


「ならいいけど、危ない時はちゃんと助け呼べよ。おまえのことだから、すぐ一人でなんとかしようとするだろ」



ずきりと少し胸が痛んだ。


…助けを呼んだって、意味がない。それなのに、どうして呼ばないといけないの?



「明日香?」



黙り込んでいる私を怪訝に思ったのか、玲音が顔を覗き込んできた。
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