夜が明けたら君に幸せを。
「…うん」


「そっか、よかったー!心配してたんだよねー」


「…どうして」



どうして、突き放しても話しかけてくれるんだろう。


変わらず、笑顔を向けてくれるんだろう。



「如月さん?どうかした?まだどこか具合悪い?」


「…なんでもない。大丈夫だから」



まだ何かを言いたげな柏木さんを避けるように、さっさと靴箱に向かう。



やっぱり、今の私は学校なんて来るべきじゃなかったのかもしれない。


余計な気持ちが出てきてしまいそうになる。



その度に押し込めて押し込めて、いつか壊れてしまいそうで、怖い。





その後挨拶をしてくる人は誰もいず、なんなく自席に着く。


…汐江くんは、まだ来ていなかった。



–––『…またね、如月さん』



ふと、最後に見た汐江くんの悲しそうな顔が頭をよぎった。
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