夜が明けたら君に幸せを。
きっと汐江くんのことだから、柏木さんみたいに今日も変わらず絡んできそうだ。



私だって冷たく突き放すことに心を痛めないわけではない。


もっとやり方だって言い方だってあるだろうけど、わざと冷たく突き放すのはそうすればもう二度と私に関わってくることがないからだ。



「おー朝陽はよー。今日は遅いのなー」


「昨日夜更かししちゃってさー遅刻するかと思った。まじ焦ったわ」



友達と笑いながら汐江くんが登校してきて、どきりとする。


何を今更緊張しているんだ。


汐江くんがどんなにしつこく話しかけてきても、諦めてくれるまで突き放すんだ。



…だが、汐江くんは席に着いても、私に話しかけてくることはなかった。





「明日香、帰ろう」


「え?あ、うん」



気づいたら、放課後になっていた。


汐江くんは一回も話しかけてこなかったどころか、今日は一度も目すら合わなかった。



もしかして、やっと諦めてくれたのだろうか。
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