夜が明けたら君に幸せを。
ふと上を向くと、ダンボールの下に挟まっている雑巾が気になった。



玲音に視線を向けるが、ゴミを櫻井くんとまとめていて忙しそうだ。


背伸びをしてみると雑巾に手が届き、ぐいっと引っ張る。



だが、雑巾と一緒にダンボールまでぐらりと傾いてしまった。



「危ない!」



大きな声が聞こえたかと思うと、強く腕を引かれその拍子に誰かの胸におでこをぶつける。



「大丈夫?」



助けてくれたのは、汐江くんだった。



「ちょ、大丈夫二人とも!?」


「怪我はない?」



三人が心配そうに覗き込んできてこくんと頷く。



「…汐江くんも、ありが…」



お礼を言おうと汐江くんを見上げると、汐江くんの肩にちょこんと蜘蛛が乗っかっていた。しかも、かなり大きめの。



「ぎ、ぎゃあああああ!?」
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