夜が明けたら君に幸せを。
「…え?じゃあ、どうしてあんなこと…」


「どうしてって、そんなの簡単でしょ。悠真くんが明日香のこと好きだったから。むかついて嘘ついたの。明日香がみんなに嫌われちゃえばいいのにって思ったから」



気づいたら、咲那の頬を叩いていた。


咲那はまるで叩かれることがわかっていたかのように驚きもせず、にやりと笑うと突然きゃああ!と悲鳴を上げた。



「咲那!?」


「私今見てた!如月さんが咲那のこと叩いてた!」



窓側で騒いでいた女子たちが再び咲那を守るように戻ってくる。



「明日香が…逆ギレしてきて…。選ばれなかった私が悪いって…。明日香のこと信じてたのに…うう…っ」



ペラペラと次から次へと出てくる嘘や、涙に、立ち尽くしていることしかできなかった。


これは…誰?私の知っている咲那じゃない。



「どうしたの?」



登校してきた大倉くんに、咲那が素早く抱きついていった。



「明日香が…私の上履きをこんなボロボロにして…。前から裏で嫌がらせされてきてたの…。でも私、怖くて逆らえなくて…」



大倉くんに見せているボロボロになった上履きも、もちろん咲那の自作自演。
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