夜が明けたら君に幸せを。
「なんだよその目。おまえ本当にむかつくんだよ!」



怒り任せに頬を叩かれ、咄嗟のことに反応が遅れてしまいその場に倒れ込む。


チャイムの音が鳴り響き、三人は律儀にバケツを投げ返してきて、トイレから出て行った。



手を上げるなんて、本当に頭がおかしいんじゃないか。


呆れる。



この時までは、そう強気でいられた。





放課後。


どこに行くかとか今日の部活がとか盛り上がるクラスメイト達を一瞥し、鞄を持ちさっさと教室を出る。


制服が乾かなかったため、ジャージで廊下を歩く私に通り過ぎる人たちが怪訝な顔で見てきたが、気にせず歩き進める。



今日はお母さんは夜勤で遅いはずだから、早く帰れる。


早くこんなつまらないなんのために来ているのかわからない学校から離れて、家でのんびりと寝たい。



そんなことを考えていた時だった。


いきなり、今通り過ぎたばかりの化学準備室から手が出てきたかと思うと、あっという間に中に引きずり込まれた。



「なっ…誰!?離して!」
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