夜が明けたら君に幸せを。
いつもこういうキラキラした楽しい場所は離れたところから見ているだけだったのに。



「明日香は、楽しい?」



視線に気づいた汐江くんがこっちに手を振ってきて、振り向いた花音は笑顔で両手を大きく振ってきた。



「うん、楽しい」



今は私もその中に入れている。もう傍観者なんかじゃない。





「はー食べた食べた。あとは花火が見やすいところ探すだけだねー」


「でもこの人の多さだし、座って見るのはきつそうだね…」


「つぶされんの嫌なんだけど…」



後ろの方で三人の会話をぼーと聞いていると、隣にいた汐江くんが「如月さん?」と顔を覗き込んできた。



「え?」


「疲れた?足痛い?」


「あ、ううん。花火を誰かと見るのとか久しぶりで、楽しいなって思って…わわっ」



突然、横でふざけあっていた大学生の集団がなだれこんできて、汐江くんの胸に顔をぶつける。



「大丈夫?」


「あ、うん…!ご、ごめん…」
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