夜が明けたら君に幸せを。
慌てて離れようとすると、汐江くんに手を握られた。



「如月さんすぐ迷子になっちゃいそうだから、一応ね」


「な…っ、そんな子どもじゃないよ!」



汐江くんはあははと笑ったけど、私は繋がれた手が熱くてそれどころじゃなかった。


どうしてこんなに苦しいくらいドキドキするんだろう…。



「ねえ、そういえばさそろそろ名前で呼んでもいい?」


「え?」


「もう俺ら友達でしょ?いつまでも名字でさんづけなんて距離があって嫌じゃん」


「あ、うん、全然いいけど…」


「ほんと?じゃあ明日香って呼ぶね」



どくんと心臓が飛び跳ねた。


なにこれ…。ただ名前を呼ばれただけなのに、なんなのこの気持ちは…。



「明日香も俺のこと名前で呼んでね?朝陽って」


「え」


「ほらほら、練習。あーさーひ。はい?」


「え、あ、あ、あさ…」


「朝陽くんー!」
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