夜が明けたら君に幸せを。
「二人はそいつのこと押さえててねー」



手足を縛られている+二人からも押さえられ、全く身動きが取れなくなってしまった私の体操着を、もう一人の女子がにやにやと不敵な笑みを浮かべながらハサミで裂いてきた。



やめて…やめてっ!



声にならない叫びは誰にも届くことはなく、裂かれた体操着からは下着が露わになる。



「はーい、次は下ねー。ほらほら、こっちに視線向けてー」



スマホで動画を撮っている目の前の彼女も、それを見て笑える彼女たちも、人の心というものがないんじゃないか。



どうして、こんなことができるんだ。



「可哀想だから中は見えない程度に撮ってあげてる私に感謝してよねー?あ、やば今一瞬写っちゃったかも」


「あははっ!ダメじゃん、しんどー」


「見して見してー」



…誰か、助けて。


誰でもいいから、私を助けてよ。



普段は人を自ら拒み突き放しているというのに、こういう時は誰かの助けを求めるなんて、我ながらすごく矛盾している。


あの日(・・・)から、人と一切関わってこなかった私には、助けてくれる誰か、なんて一人もいないのに。
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