夜が明けたら君に幸せを。
トラウマの三人が、ボブの女子生徒に向かって屋台の食べ物を投げつけていた。


たしかあの女の子は同じクラスだった清水(しみず)さん。大人しい性格でよく一人でいた気がする。



私が違うクラスになったから、この世界では清水さんが三人に目をつけられているんだ。


あの三人にとって誰をいじめるかなんて重要じゃない。暇をつぶせるなら誰だっていいんだ。



「あの、ごめんなさ…っ。すぐ買い直して…」


「あーもういい。おまえに頼んでたら一生食べたいもの食べられないし。もう自分たちで買ってくるから、お金ちょうだい?」


「え…」


「あー大丈夫大丈夫。清水さんのもちゃーんと買ってきてあげるから。んーなにがいいかなあ。そこらへんの草とか?」


「ぶっ、あはは!草なんてお金払わなくても食べれるし!」


「てか普通の人間は食べないし、ぷっあはは。いくら清水さんが馬に顔そっくりだからってそれはひどいよぉー」


「あっはは!その言葉が一番ひどいって」



清水さんが拳を握りしめて、必死に泣くのを我慢しながら俯いているのが見えた。


この三人はやっぱりどこまでいってもクズなんだ。



…もう関わりたくない。せっかくあの地獄から抜け出せたというのに、また三人と関わるなんて嫌だ。



「ほら、早くしろよ」


「う…っ!」
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