夜が明けたら君に幸せを。
「…え」



汐江くんが私を庇うようにして前に立っていて、振り下ろそうとしていた女子の腕を掴んでいた。



「…これからその子と明日香に手出してみろよ。許さないから」


「な、なんなのさっきから!あーもういい、飽きた」


「あ、待ってよ…!」



三人は逃げるようにして行ってしまった。


張り詰めていた気が抜けたからか、力なくその場に座り込む。



「明日香、大丈夫!?花音たちから明日香とはぐれちゃったって連絡きて、探してたんだよ」


「そうなんだ…心配かけてごめんね」


「あの…私のせいでごめんなさい」



清水さんがそっと唇の端にハンカチを当ててくれた。



「あの三人に入学してからすぐに目をつけられて…。きっと一人でいるような大人しいタイプの私だったからなんでしょうね。ずっと逆らうのが怖くて、言いなりにしかなれない毎日が苦しかった…。夏休みなのに今日も急に呼び出されて、ずっとこのままなのかなって絶望していたから、見ず知らずのあなたが助けてくれてすごく嬉しかったです。ありがとう」


「いや、そんな…。私こそ勝手なことしちゃって、これからもっと嫌がらせされちゃうかもしれないのに…」


「…そうなってもいいです。私はもう逃げません。私も言い返せる強い人になりたいって、あなたを見て思いました。それに、前から気にかけてくれるクラスメイトもいるので、少し頼ろうかなって」


「そっか…」
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