夜が明けたら君に幸せを。
爆発しそうだった花音を連れて廊下の隅っこに行く。



「朝陽も意味がわかんないんだけど!急にキスしたくせに、いつも通りなの?なんなのあいつ!」


「好きって言えない私も悪いから…。朝陽は多分私を慰めようとしてキスしただけなんだと思う。それがわかってるから余計告白する勇気もなくて…」


「そんなわけ…あるか、朝陽なら…」



もし今告白したとしても、振られるのが目に見えている。


この関係を壊してしまうと、修学旅行で気まずい思いをするのは私だけじゃないからそんな簡単にできない。



「んー朝陽かあ…。何考えてるかわかんないからな…。あ、でも最近あんまり女子と遊ばなくなったらしいよ。こういう中途半端な関係持つのもうやめるって急に言い出したって爽也から聞いた」


「そうなんだ…」



–––––『…俺も、頑張ってみるよ』



朝陽は大切な“誰か”を作るために今頑張っているんだ…。


それが私であればいいのになんて思うのは、ただの独占欲だ。



「今の関係壊れちゃうの怖いかもしれないけどさ、明日香は今のままでいいの?ボーとしてたら朝陽なんてすぐに取られちゃうかもよ?」


「それは…嫌だけど…」


「じゃあとりあえず言うだけ言ってみよう!言わないと何も始まらないもん」


「うーん…そうだよね…」
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