夜が明けたら君に幸せを。
「…え」



朝陽がにこっと優しく微笑んだ。



「朝陽、鞄持ってきたけど、なんで朝陽のまで持ってくる必要あんの?」



向こう側から玲音が鞄を持ってやってきた。



「家まで明日香のこと送ってくるから、先生に適当に言っといて」


「…は?あ、ちょ…」



二人分の鞄を持った朝陽に腕を引かれるまま学校を出る。



「ごめん朝陽…。今からでも学校戻って…」


「いいよ気にしなくて。明日香のこと放ってなんていられないよ」



大丈夫だから、と言わなきゃいけないのはわかっているけど…。


朝陽がそばにいてくれるだけで嬉しくて、この手を離すことなんてできなかった。





「ありがとう、送ってくれて…」


「中まで付き添わなくて平気?」


「うん、ここまでで大丈夫。本当にごめんねありがとう」



朝陽が優しく頭を撫でてくれて、それだけで頭痛が少し治った気がした。


朝陽は私が家の中に入るまで見守ってくれて、軽く手を振ってからドアを閉める。
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