夜が明けたら君に幸せを。
お母さんの靴は…なかった。きっとコンビニにでも行っているんだろう。



重たい体を引きずって冷蔵庫から水を出して風邪薬を飲む。


本当は何か食べてからがいいんだろうけど、気持ち悪くてとてもじゃないけど無理だった。



「はあ…っ、はあ…」



壁に手をついてゆっくりと二階の自室に行き、制服から部屋着に着替える。


やっとベッドに寝転がれたと同時に机の上に置いていたスマホが鳴った。



「…もしもし?」


「あ、明日香?まだ起きてた?」



着信はさっきわかれたばかりの朝陽からだった。



「今寝ようとしてたところ…」


「そっか、ごめんねちょっとだけ。花音たちから伝言来てたから、伝えとくね。“明日香、早く元気になってね。明日香いないとつまんないよ”花音より。“無理はしないでね、お大事に”爽也より。“何か欲しいものがあったら連絡して。すぐ届けに行くから”玲音より。以上です」


「ふふっ、早く治してみんなにありがとうって言わないと…」



心配してくれる友達がいる。それだけで嬉しくて涙が止まらない。


今まで熱が出た時は一人で寝て、寂しさに泣いていたのに。


今はこんなにも温かい言葉をくれる人たちがいる。
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