夜が明けたら君に幸せを。
溜まっていた洗濯物を洗濯機に突っ込んで回してから、台所に積まれているお酒の缶をビニール袋の中に入れていく。


ついでに掃除機までかけていると、コンビニのビニール袋を持ったお母さんが帰ってきた。



「…お母さん、お酒飲み過ぎだよ…」



ビニール袋の中から新しいお酒の缶を取り出していたお母さんがうつろな目で私を見た。


最近新しい仕事探しまでやめてしまったお母さんの酒癖はひどくなっている一方だった。このままじゃ病気になってしまう。



「…あんたには関係ない」


「関係あるよ!もうやめてよお母さん…」



お母さんと言葉を交わすのなんて何ヶ月ぶりだろう。


今までお互い干渉しないで毎日を過ごしていたけど、いい加減放っておくのも限界だった。


ずっと“あの日”にとらわれ続けているお母さんを見ているのが辛かった。



「…お父さんのこと、まだ待ってるの?」



ぴくりとお母さんの肩が震えた。



「お父さんはもう帰ってこないんだよ。いい加減前に…」


「あんたに何がわかるのよ!」



ぱしんっと頰を叩かれる。
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