夜が明けたら君に幸せを。
止まっていた涙がまた溢れ出した。


朝陽は不思議だ。私が本当にほしい言葉をいつもくれる。救ってくれる。



「私も朝陽と出会えてよかったよ…っ」



朝陽は驚いたように目を見開いてから、嬉しそうに優しく笑った。





それから私は枯れるくらいたくさん涙を流して、朝陽はその間ずっと黙って頭を撫でてくれた。


やっとすっきりした頃にはもうすっかり辺りは暗くなっていた。



「もしも明日死ぬってわかったら、明日香は何をする?」


「…え?」



唐突に朝陽が聞いてきた質問を、泣きすぎてぼーとする頭で反芻する。


もしも明日死んでしまうなら、私は…。



「言いたいことを全部伝える、かな。死んでから後悔しないように、大切な人に言いたいことを全部伝えたい」



…そうだ。お父さんが出て行ったあの日から、お母さんと向き合うことをしてこなかった。


言いたいことはいつも呑み込んで、関わることをやめていた。



「…私、お母さんとちゃんと話してみる。いつまでも向き合うことを逃げていたら、私たちは一生前に進めないと思うから」
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