夜が明けたら君に幸せを。
ブランコの鎖を握りしめてそう決意した私に、朝陽は「うん」とまるでそう言うことがわかっていたかのように微笑んだ。





「そうだ、さっきの質問。朝陽だったらなんて答えるの?」



家まで送ってもらう帰り道でふと気になって、朝陽にさっきの質問をし返す。



「…俺は約束を守りにいく、かな」


「約束?」


「うん。昔にした約束とか守らないで死んじゃったら、罰当たりそうじゃん?」


「ええ、律儀だね。私なんて誰かとした約束とか忘れちゃってるよ」



朝陽は優しいからそういう約束とか大切にしそうだもんな…。


好きだなあ、と出てきた感情にぼっと頰が熱くなるのを感じる。



「明日香?どうかした?」


「ううん、なんでもない…。あ、もう家着いたね、ありがとう送ってくれて」



誤魔化すように笑った頰はぴくぴくと引きつっているのがわかったけど、それでも懸命に笑顔を作る。



「じゃあ…」


「明日香」



家に入ろうとすると朝陽に呼び止められた。
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