鈍行
この電車。
私の地元から乗ったこの電車。
一度に走る区画はすごく短い。
日本の端まで行きたかったのに、
県の外までも、ましてや、市の外までも行きやしない。
同じ区画を20分起きに行ったり来たりしている。
乗り換えの必要もない。
その気力も無い。
慣れてきた揺れに心地よさを感じ、
子守唄にしたりBGMにして本を読んだり。
目に光がないサラリーマンは今日は乗ってこない。
おしゃれにきめ、目を輝かせた若者達が
今日の話をしている。
私の分まで楽しんでくれ。
と、全く知らない人達に自分の未来を委ねてみる。
私の好きだった人達に自分の寿命を分け与えてみる。
このまま長い眠りについてしまいたかった。
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