お師匠様とイチャイチャしたい!
『おかあさん……』
そうだ、朧気だけどお母さんが甘いお菓子を作ってくれたことがあったんだ。
ポロポロと自然と涙がこぼれ落ちる。
『思い出させちまったか?』
お師匠様は私の頭をそっと撫でる。
久しぶりに触れた大人の優しさに、私は大泣きをした。
気づけばまわりの子たちもお師匠様を取り囲むようにして泣いていた。
お師匠様は大きなため息をひとつ、『魔王を倒しても世界が平和になるのはまだまだ先だな』と呟いた。
そして――。
『お前たち、今日から一緒に住むぞ』
と私たちをまとめて引き取ってくれたのだ。
大魔法使いであるお師匠様は、当然のごとく魔法が使える。
回復魔法を得意としていて、魔法だけでなく知識も豊富だ。
『魔王のいなくなった世界で魔法使いの役割は終わった』
そう言って、小さな診療所を営みながら子供達と生活することを選んだお師匠様。
私たちはお師匠様のもと、勉強に励んだりお手伝いをしたりして一緒に暮らした。