こっちおいで



…………ゼロくん?



「のの」



絶体絶命な状況で現れたのは

なんとも非力なヒーローだった。


風に吹かれて飛んでいきそうな

病弱な美少年。



「なにしてるの」



男の手が、わたしの口元から離され

ゴホッとむせる。



「この子が避難できていなかったから。家に送る途中なんだ」



善人ヅラしてゼロくんに話しかける、警官。



「のの」

「おや。知り合いかい」

「くるしいの?」

「そうなんだ。さっぎで、ゾンビがいつ出てくるかと怯えていたから。私がついているから大丈夫と伝えているんだが、なかなか――」

「……にげて」


< 50 / 60 >

この作品をシェア

pagetop