こっちおいで
…………ゼロくん?
「のの」
絶体絶命な状況で現れたのは
なんとも非力なヒーローだった。
風に吹かれて飛んでいきそうな
病弱な美少年。
「なにしてるの」
男の手が、わたしの口元から離され
ゴホッとむせる。
「この子が避難できていなかったから。家に送る途中なんだ」
善人ヅラしてゼロくんに話しかける、警官。
「のの」
「おや。知り合いかい」
「くるしいの?」
「そうなんだ。さっぎで、ゾンビがいつ出てくるかと怯えていたから。私がついているから大丈夫と伝えているんだが、なかなか――」
「……にげて」