こっちおいで


うん。


ゼロくんは、わたしの友達。



本当は……

友達なんてイラナイって思ってた。



見せかけの友情は邪魔でしかない。



でも……


ゼロくんは来てくれた。


友達だから……と。



ゼロくんには、わたしの声が届いた。



「ぼくと、あそんでくれる?」



だからこそ、いやだ。

あなたが傷つけられるのを見るのは。




「近くで見ると本当にキレイな子だな……。男の子には興味がなかったが……ああ、君は特別だ……」



目の色を変えた警官が、ゼロくんに歩み寄る。



「だめ!」



ゼロくんに近づかせるものか。



警官を追いかけ、腕を引っ張る。



「こいつ、やばいよ……! ヒトゴ――」

「黙れ」

「っ」


警官に突き飛ばされ、地面に倒れこむ。


「いっ……」


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