オフトゥン大好き黒猫令嬢とオオカミ王子。王子は私を婚約者に選ばないでください!
第一話〜第三話
第一話
確か乙女ゲームのタイトルは『ローランド恋物語』
ローランド王族は代々――狼の能力と原種の血が濃く、他の獣人達の番よりも濃い『運命の番』がいる。
その運命の番と結ばれれば、遂になる番紋(つがいもん)が浮かぶという設定だった。
王子とヒロイン結ばれた時に、手首に薔薇の花の番紋が浮かんでいた。
私が住むローランドでも、第一王子リチャード・ローランドの『運命の番』を探し始めた。国王陛下はお抱えの恋占い師を城に呼び、第一王子リチャード・ローランドと、相性の良い貴族令嬢を十二人を選んだ。
その十二人のなかに私――ミタリアも選ばれていた。先日、屋敷に届いた封書に書かれていた、王子の名前を見て、激しい頭痛の後に前世の記憶が戻ったのだ。
第二話
私はオフトゥンで眠れるだけで幸せ。
狼王子リチャード殿下は乙女ゲームで見てきた通り銀髪、青い瞳で素敵だった。私は他の婚約者候補の様に王子一筋、目がハートにはなることもなく。婚約者候補達で開かれるお茶会に参加しても、女の子同士の歪み合いを遠目に見ていた。
――正直、可愛い子達があんなキツいことを言うなんて……怖かった。
私が婚約者に選ばれたら恐怖しかない!
そんな月一の王子デート、他の候補者の令嬢達はリチャード王子殿下といろんなデートをしているみたい『私は王都で買い物デートをしましたわ』『演劇に行きましてよ』『私は遠出に』とか優雅にお茶を嗜みながら言い合っていた。
私は、私なりに一年に一回の王子のデートを、それとなく過ごした。
まあ毎回、同じことを言うので王子に飽きられているとは思う。これもみな私が王子の婚約者にならない様に、する為には仕方がないこと。
第三話
走り出した馬車の中は、なんと、以前とは変わっていた。馬車の中に私の好きな、ふかふかオフトゥンが敷いてあった。
「ふかふかオフトゥンだ!」
登城を嫌がる私のために両親が考えたのだろう。
オフトゥンに転がりす、もみもみ、すりすりを楽しみ、そしてくるまり眠った。
――幸せ!
オフトゥン馬車に乗ってから四時間後――途中で昼休憩を挟み、馬車に揺られて私は時刻通り王城に到着した。
コンコン、
「ミタリヤお嬢様、王城に到着いたしました」
「もう着いたの? ちょっと待って!」
ナターシャが綺麗にした髪がオフトゥンにくるまったせいで、ボサボサになっていた。
でも大丈夫、私の髪型は見た目ウルフカットのロングだから、手で軽く整えればいい。
声をかけて従者に外鍵を外してもらい、馬車を降りて城内への出入り口に向かうと、先月と同じく王子の側近――綺麗に刈り上げた茶髪、茶色の瞳の犬族リルが待機していた。
又の名を忠犬リル……。ゲームだと婚約破棄後、王子に命令された彼にミタリアは足音なく捕らえられる。
かなり腕が立つ、王子の忠犬だ。
彼に近付き挨拶をすると『リチャード様は庭園でお待ちになっておられます』と庭園のテラス席に案内される。
確か乙女ゲームのタイトルは『ローランド恋物語』
ローランド王族は代々――狼の能力と原種の血が濃く、他の獣人達の番よりも濃い『運命の番』がいる。
その運命の番と結ばれれば、遂になる番紋(つがいもん)が浮かぶという設定だった。
王子とヒロイン結ばれた時に、手首に薔薇の花の番紋が浮かんでいた。
私が住むローランドでも、第一王子リチャード・ローランドの『運命の番』を探し始めた。国王陛下はお抱えの恋占い師を城に呼び、第一王子リチャード・ローランドと、相性の良い貴族令嬢を十二人を選んだ。
その十二人のなかに私――ミタリアも選ばれていた。先日、屋敷に届いた封書に書かれていた、王子の名前を見て、激しい頭痛の後に前世の記憶が戻ったのだ。
第二話
私はオフトゥンで眠れるだけで幸せ。
狼王子リチャード殿下は乙女ゲームで見てきた通り銀髪、青い瞳で素敵だった。私は他の婚約者候補の様に王子一筋、目がハートにはなることもなく。婚約者候補達で開かれるお茶会に参加しても、女の子同士の歪み合いを遠目に見ていた。
――正直、可愛い子達があんなキツいことを言うなんて……怖かった。
私が婚約者に選ばれたら恐怖しかない!
そんな月一の王子デート、他の候補者の令嬢達はリチャード王子殿下といろんなデートをしているみたい『私は王都で買い物デートをしましたわ』『演劇に行きましてよ』『私は遠出に』とか優雅にお茶を嗜みながら言い合っていた。
私は、私なりに一年に一回の王子のデートを、それとなく過ごした。
まあ毎回、同じことを言うので王子に飽きられているとは思う。これもみな私が王子の婚約者にならない様に、する為には仕方がないこと。
第三話
走り出した馬車の中は、なんと、以前とは変わっていた。馬車の中に私の好きな、ふかふかオフトゥンが敷いてあった。
「ふかふかオフトゥンだ!」
登城を嫌がる私のために両親が考えたのだろう。
オフトゥンに転がりす、もみもみ、すりすりを楽しみ、そしてくるまり眠った。
――幸せ!
オフトゥン馬車に乗ってから四時間後――途中で昼休憩を挟み、馬車に揺られて私は時刻通り王城に到着した。
コンコン、
「ミタリヤお嬢様、王城に到着いたしました」
「もう着いたの? ちょっと待って!」
ナターシャが綺麗にした髪がオフトゥンにくるまったせいで、ボサボサになっていた。
でも大丈夫、私の髪型は見た目ウルフカットのロングだから、手で軽く整えればいい。
声をかけて従者に外鍵を外してもらい、馬車を降りて城内への出入り口に向かうと、先月と同じく王子の側近――綺麗に刈り上げた茶髪、茶色の瞳の犬族リルが待機していた。
又の名を忠犬リル……。ゲームだと婚約破棄後、王子に命令された彼にミタリアは足音なく捕らえられる。
かなり腕が立つ、王子の忠犬だ。
彼に近付き挨拶をすると『リチャード様は庭園でお待ちになっておられます』と庭園のテラス席に案内される。