君が好きなだけ。
夏休みは塾漬けで、夏休みが終われば、勉強の追い込みが本格化した。
俺が目指してる星桜学園は、いわゆる進学校で、ここら辺に住んでる頭のいい輩が、こぞって受験する。
正直、今の成績じゃ受かるかは五分五分。そんなことを塾講師に10月に言われてしまえば、焦るに決まってる。それでも星桜学園を受けるって決めたのは俺だから、ちゃんと合格のためにやれることは全部全力でするべきだと思った。
彩海もそれをわかってくれてた。返信遅いかも、あんま話せないかも、と言ったら、彩海は笑顔で、ちょっと寂しいけど大丈夫だよ!って言ってくれた。
その笑顔が少し引きつっていたようにも感じたけど、俺は自分のことに必死で、彩海の言葉を真に受け、返信は朝起きた時と、夜寝る前くらいにしか返さなくなっていったんだ……。
新学期からは、難関校レベルクラスっていうのができて、俺はそこに入れた。正直、ここに入れなかったら星桜に合格するのは無謀な話。だから、入れてほっとしたし、よりモチベーションがあがった。
どんどん彩海との時間はなくなっていった。そのことに気づいてはいながらも、こんなの俺と彩海なら平気な障壁だと思ってた。
クリスマスはデートがしたい、と彩海に言われたのは11月。俺も、そこだけはと思って塾の予定も入れないつもりだった。彩海から言い出してくれたのはすごい嬉しかった。好きでいてくれてる、って伝わったから。
それからも変わらず月日は流れて行った。
塾に箱詰めになって勉強をして、結果が目に見えてついてくるようになってきた。