3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「野々花が料理上手なのは、おばあ様が教えてくださったからだと聞きました」

「えぇ、そうなの。ののちゃんは物覚えが早い子でね。料理もすぐに上達したわ。ののちゃんの料理は美味しいでしょ?」

「はい、とても美味しいです。野々花が毎日お弁当を作ってくれるおかげでお昼が楽しみになっています」

 理人さんの話を聞いて祖母は「まぁ、そうなのね」と言いながら微笑ましそうに私と理人さんを交互に見た。

「仲良くやっているみたいで安心したわ。あ、理人君。食べ終わったら、ののちゃんのアルバムでも見る?」
 
 突然とんでもないことを提案した祖母にギョッとなる。

「ちょっとおばあちゃん!?」

「ぜひ見せてほしいです」

 理人さんが私の声に被せて言うと、祖母は「じゃあ早く食べちゃいましょう」と勝手に話を進めてしまった。

 べつに特段変わったわけではないけれど、子供の頃の写真を見られるのは恥ずかしい。あれ? 見られたらまずい写真とかなかったよね?
 不安がよぎり、理人さんの服の裾を掴んだ。

「私の子供の頃の写真なんて見てもつまらないですよ?」

「そんなわけないだろ? 野々花の幼少期の写真なんだから」

 にっこり笑顔で言う理人さんに、顔が引きつる。
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