3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
『契約を破る気持ちの変化には、どう対処したらいいですか?』
「いや~よく来たな、理人に野々花さん! 元気だったかい?」

 次の日、訪れたのは理人さんの祖父宅。早い時間に来てほしいと言われ九時過ぎに伺うと、元気な祖父が出迎えてくれた。

「俺たちは元気にやってたよ。そう言うじいちゃんこそどうなんだ?」

「ちゃんとお前たち名医の言うことを聞いているから、元気に決まってるだろ?」

 茶の間に移動すると、すぐに家政婦がお茶とお菓子を持ってきてくれた。

「ゆっくり茶でも飲んでいけと言いたいところだが、そうはいかん。これを渡したくて早くに呼んだんだ」

 祖父がテーブルの下から出したのはなにかのチケットだった。

「なにこれ」

「遊園地のフリーパス券じゃ」

 得意げに言う祖父に、私と理人さんは顔を見合わせる。

「理人のせいで新婚旅行にも行けていないんだろ? 会いに来てくれたのは嬉しいが、ふたりで過ごせる時間は限られている。無駄にせずに一緒に楽しい時間を過ごすことが夫婦円満の秘訣じゃ」

 祖父は私たちにチケットを差し出した。

「とはいえ、孫夫婦の顔を見れんのも寂しいから、これからもちょっとの時間でいいから顔を見せにきておくれ。今日のようにどこかに出かけるついででもかまわないから」

「じいちゃん……」

 理人さんは戸惑っているけれど、ここは祖父の気持ちを尊重するべきだよね。
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