3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「大丈夫だから。それにじいちゃんが言っていただろ? ふたりの時間を大切にしろって。なによりせっかくふたりで来ているのに、野々花と一緒じゃなければ楽しくないさ」

「えっ?」

 意味深な言葉にドキッとした私を置き去りにして、理人さんは優しく私の背中を摩った。

「野々花が楽しんでくれれば俺も楽しいから大丈夫」

「理人さん……」

 なにそれ……。でも私も同じ気持ちだ。さっきだって楽しそうな理人さんを見たら、乗れると思えた。彼と一緒に乗って「怖かったね」「また乗りたい」って言いながら笑い合いたかった。
それは私だけじゃない、理人さんも同じなんだ。

 そう思うとなんとも言えない感情が押し寄せてきて胸が苦しくなる。

「野々花でも乗れそうなのは……ここら辺だな」

 そう言って彼がパンフレットに書かれている指差した場所は、幼児向けのアトラクションがあるエリアだった。
 申し訳ないけれど、たしかにこれくらいしか私には乗れなさそうだ。

「メリーゴーランドとか、何年ぶりだろ。野々花、ゴーカートなら乗れそう?」

 理人さんは絶叫アトラクションだけではなく、乗り物全般が好きなのかもしれない。
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