３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

　中には元気になれたことがよほど嬉しいのか、入院生活を話してくれる患者もいて、手術前後はもちろん、退院まで頻繁に病室を訪れては高清水先生が気にかけてくれて嬉しかった。退院しても不安なことがあったら、いつでも連絡をくれていいと言われたおかげで、安心して自宅で生活できるとも言っていた。

「先生たちの派閥とか、どの先生の腕がいいとか、正直私にはわかりません。でも退院していく患者さんが、高清水先生が素晴らしいドクターだと証明しているのではないのでしょうか？」

　そんな高清水先生が次期院長の病院なら、これからも安心して働けると思っている。実際に給料はいいし福利厚生も手厚い。人間関係も問題がなく、できるならずっとここで働き続けたいと思っているから。

「きっと高清水先生のことを悪く言っているのは、ほんの一部の人間ですよね？　ほとんどの人は私のように高清水先生のことを尊敬しているはずですから」

「尊敬、か」

　ぽつりと呟いた彼にハッと我に返る。