3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「ありがとうございました」

 今の彼はまさに王子様だ。きっと奈津希に見せたら発狂しそう。私だって毎日眺めちゃいそう。

「どういたしまして。じゃあ今度は俺の番」

「え?」

 そう言って彼は私にスマホを向けた。

「ちょ、ちょっと待ってください。私は撮らなくていいですよ」

「なに言ってるんだ、それじゃ俺だけ撮られ損になるだろ」

「私なんて撮っても意味がないです」

 慌てて腕で顔を隠すより先に理人さんは連写で撮った。

「あぁ……! 今すぐ消してください。絶対に変な顔をしていました!」

「大丈夫、可愛いから」

 サラッと可愛いと言われたことにドキッとする余裕などなく、「消してください」と繰り返し言う。

「俺以外に誰も見ないんだからいいじゃないか」

 それが大問題じゃないですか! 理人さんに見られるのが一番恥ずかしいのに。

「ほら、動くからおとなしく乗ってろ」

「……あとで必ず消してくださいよ?」

「はいはい」

 返ってきた返事から察するに消す気がなさそうだ。
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