3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 しかし久しぶりに乗ったメリーゴーランドは思いのほか楽しく、それからもコーヒーカップやゴーカートに次々と乗っていくうちに写真のことなどすっかり忘れてしまった。


 軽く昼食を済ませて、子供や家族連れに交じってアトラクションに乗り尽くした頃には、十六時になろうとしていた。

 そろそろお土産を買って帰ろうとなり、遊園地内にあるショップに来たところ、理人さんが意外なコーナーに向かった。

「じいちゃんのお土産はぬいぐるみにしようと思うんだけど、どれがいいと思う?」

「えっ?」

 てっきり無難なお菓子を買うとばかり思っていた私は、ポカンとなる。だって祖父にぬいぐるみのお土産なんて、誰が考える?
 冗談で言っているのかと思ったけれど、理人さんは至って真面目だった。

「えっと……本気でぬいぐるみを買っていかれるんですか?」

「あぁ。あぁ見えてじいちゃんは、ばあちゃんの影響で可愛い物が好きなんだ。きっとじいちゃんの部屋を見たらびっくりするぞ」

 そうなんだ、でもおばあ様が好きな物を好きになるって素敵だな。

「じゃあどれがいいですかね。やっぱり遊園地の公式キャラクターでしょうか?」

「だけどこれは可愛いのか?」

 理人さんがぬいぐるみを手に取って首を傾げたくなるのにも頷ける。絶叫アトラクションが多いのが売りだから、竜をモチーフにしているんだと思うけど、それはお世辞にも可愛いとはいえないから。
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