3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「恥ずかしい話、俺の中でじいちゃんはヒーローでさ。多くの患者の命を救い、ばあちゃんを大切にする姿に強い憧れを持った。純粋に俺もじいちゃんになりたいって思ったんだ」

 それが理人さんが医者を志した理由なんだ。あれ? おばあ様を大切にしていたおじい様に憧れていたなら、結婚に対しても前向きなはずじゃないのかな?なぜ彼は結婚に夢を抱けなくなってしまったのだろう。
 少し気になったものの、彼の話に耳を傾ける。

「両親とはどうも馬が合わなくて、衝突することがよくあってさ。その度にじいちゃんが仲裁に入ってくれて、どうにか今の関係を維持できている。両親は自分の理想や価値観を押し付けるところがあるから、今後、もし向かうから接触してくることがあったらすぐに言ってほしい」

 苦しそうに話す彼にその理由を追求することはできず、「はい、わかりました」と伝えた。

「約束だぞ?」

 そう言って彼は再びぬいぐるみを選び始める。

 きっと私には言えないなにかがご両親と理人さんの間にはあるんだよね。契約結婚で互いのプライベートには干渉しないと約束した私には聞けない。
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