3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 それに聞いたってどうすることもできないのだから、気にしなければいいのになぜかさっきの理人さんの苦しそうな顔が頭から離れてくれなかった。

 ご両親との関係もだけど、結婚に対して憧れがない理由も気になる。どうしてこんなにも理人さんのことが知りたくてたまらないのだろう。

 その答えは出ないまま理人さんと選んだぬいぐるみを買い、ショップを後にした。

「良かれと思って買ったけど、持って帰るのは大変だな」

「そうですね。でもこんな大きなぬいぐるみを抱えて歩くのが幼い頃は夢だったので、ちょっぴり嬉しいです」

 ふたりで選んだのはやっぱり遊園地の公式キャラクターの特大ぬいぐるみ。両手で抱えないといけないほどの大きさは目立ち、道行く人が振り返り見る。

「そうなのか? じゃあ今度、これよりも大きいクマのぬいぐるみでもプレゼントしようか? たしか以前、なにかの雑誌で野々花よりも大きなぬいぐるみを見た気がする」

 なんか理人さんなら本気で買ってきてしまいそうで、すぐに「お気持ちだけで十分です」と言った。
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