3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「ありがとう。容態が安定して引き継いだら帰るから」

「わかりました」

 車はあとで自宅に運んでくれるよう業者に頼むから、タクシーで祖父宅に行ってくれと言いながら理人さんは救急隊員とともに行ってしまった。

 人だかりも少なくなってきて、私も退場ゲートへと向かう。
 おじい様にぬいぐるみを届けた帰りにスーパーに寄ろうかな。理人さんが好きな料理をたくさん作ってあげたい。

 どの料理を作るか考えながら祖父の家に向かった。


「まさか理人が私の趣味を野々花さんにバラすとは。いやはや、お恥ずかしい」

 そう言いながらも、ぬいぐるみを受け取った祖父は頬を緩ませた。

「しかし理人はまた変なところで責任感が強いなぁ。野々花さんを置き去りにすることなく、救急隊に任せればいいものを。まったく誰に似たのか」

 ため息交じりに言うけれど、そんな理人さんが誇らしいのか嬉しそう。

「お詫びに私と一緒に夕食でもどうかな? ちょうど家政婦が今から作り始める頃だから、食べたいものがあったら言いなされ」
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