3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 理人さんの幼少期の話など、祖父に聞きたいことがいっぱいあるし、もっと親交を深めたいところだけれどここは我慢だ。

「お誘いいただき、ありがとうございます。ですがすみません、理人さんが患者の容態が安定して引き継いだら帰ると言っていたんです。だから彼の好きな物を用意して出迎えたくてあげたくて」

 そう言うと祖父は目を見開いた。

「そうかそうか、それはすまんかった。……野々花さんの手料理を毎日食べられて理人は果報者じゃな。きっと私がそうであったように、野々花さんに出迎えてもらえたら疲れも吹き飛ぶだろう。引き止めて悪かった、また今度理人とふたりで来てください」

「はい、もちろんです。近いうちに理人さんと伺います」

「その日を楽しみにしているよ」

 ぬいぐるみを抱えて見送る祖父の姿に微笑ましく感じながら、急いでスーパーに立ち寄った。


「買いすぎちゃったかな?」

 両手に持つ袋の中には、たくさんの食材が入っている。

 毎日お弁当を作っているし、材料が無駄になることはないようにすればいい。疲れているだろうし、今夜は生姜焼きにする予定だ。
< 129 / 255 >

この作品をシェア

pagetop