3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 他にも彼が好きだと言っていたかぼちゃのサラダや具だくさんの味噌汁を作ろうと思っている。

 スマホを確認しても理人さんから連絡はないから、まだ帰れないのだろう。帰宅したらすぐ食べられるように急いで作ろう。

 進むスピードを速めてマンションに到着し、いつものように常駐しているコンシェルジュに挨拶をしてエレベーターホールへ向かおうとした時、「お待ちください、高清水様」と呼び止められた。

「なんでしょうか」

 滅多に声をかけられないからびっくりして立ち止まり、カウンターへと向かう。
 するとコンシェルジュの男性が、チラッとロビーにあるソファに目を向けた。

「お客様がお待ちです」

「お客様ですか?」

 ここに住んでいることを知っているのは、家族のみだ。ということはまさか、理人さんのご両親?

 恐る恐るソファに目を向けると、そこには三十代くらいの綺麗な女性が優雅に珈琲を飲んでいた。

「はい、渡部(わたべ)天音(あまね)様とうかがっておりますが、お知り合いではございませんか?」

「えぇ、私はちょっと……。あ、もしかしたら主人の知人かもしれません」
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