３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
　まるで自分のことのように悲しげに言う鈴木君に戸惑ってしまう。

　もしかして鈴木君は後悔していることがあるのだろうか。「なにかあったの？」と喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。

　私が理人さんとの関係を言えないように、鈴木君にだって言えないことがあるはず。それを無理やり聞き出してはいけない。

「さて、そろそろ戻ろうか」

「そうだね」

　鈴木君と並んで病棟へと戻っていく。

　昨日自分の気持ちに気づき、理人さんには絶対にバレないようにしようと思っていたけれど、鈴木君の話を聞いて考えが変わった。

　彼の言う通り、誰だって好きな人に親密な関係の人が現れたら不安になるよね。それに三年後には離婚するんだ。だったら後悔しない選択をしたい。

　気持ちを封印して一緒に暮らし続けるより、自分の気持ちを伝えて別れるほうがずっといい。きっと告白をせずに離婚したら、後に私はすごく後悔すると思うから。

　それに振られたっていいじゃない。彼と縁があったから私は元カレに振られても、またこうして恋することができたし、祖母を安心させることもできた。
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