3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 すべて最後まで自分でやらないと安心できなかったけれど、野々花に言われて少しずつ周りに頼り始めてから意外な発見があった。

 自分では気づけなかった治療方法を提案されて驚いたり、いつも自信がなさそうだった後輩が患者のケアを任せたところ、意欲的に取り組んでくれたり。

 新たな一面を知ることができたし、以前よりも話す機会が増えて親交が深まったと思う。そのおかげで急な申し入れにも関わらず、週末に休ませてもらえることになった。

「高清水先生のようなドクターが後継者なら、この病院はまだまだ安泰ですね。私もよりいっそう精進しないと」

 そう言いながら部長はある患者のカルテを俺に渡した。

「今度、転院してくる患者です。難しい症例ですので、ぜひ高清水先生の力をかしてください」

「もちろんです」

 カルテに目を通すと、一般的に手術では取り除くことが難しい場所に腫瘍がある。

「当然ですが、手術のために転院してくるんですよね?」

「えぇ、どこもお手上げのようです。しっかりと検査をして万全の体制を作ってからできるだけ早くにオペをする予定です。ですので今度の週末は奥様とゆっくり過ごして、リフレッシュしてきてください。これから忙しくなりますから」

「……ありがとうございます」
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