3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 休みを申請したのだから部長が知っていて当然だが、照れ臭いものがある。

 だけど連休などなかなかとれない。これまでにもあったかどうか……。時間を無駄にせず野々花と過ごそう。

 そう思って迎えた週末。土曜日は野々花の祖母宅へ向かい、そこで楽しい時間を過ごしていた時、祖母から思いがけない話を打ち明けられた。

 野々花の気持ちを思うと胸が痛かったが、すでに施設に入ることを決めていたようだったし、祖母なりに考えて出した結論なのだろう。

 ひどく落ち込む彼女を見たら自分のことのように俺もつらくなり、ひとりで抱え込まずに吐き出してほしい。俺にならいくらでも弱音を吐いたっていい。

 つらい時に頼りにされないのがなにより悲しいと思った。だから野々花が俺の前で泣いてくれて心から安心した。

 彼女にとって俺は弱さを見せられる人間だということが嬉しくて、もっと野々花の力になりたいと思った。

 日曜日には祖父宅に向かい、祖父の計らいで思いがけず野々花と遊園地に出かけることになった。

 思い返せば、食事や買い物には行ったことがあるけれど、デートスポットは初めてだった。

 久しぶりに訪れた遊園地で意外な野々花の一面を知り、楽しいひと時を過ごした。帰り際にハプニングがあったものの、患者は一命をとりとめ、普通ならデート中に置き去りにしたら怒るところ、患者についていきたいと言う俺を笑顔で送り出してくれた。
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