3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 だけど、なぜ高清水先生は三年という条件を出したのだろうか。なにか意味があるの?

「あの、どうして三年間だけなんですか?」

 気になって聞いてみたところ、高清水先生は少しだけ表情を曇らせた。

「キミと同じで家族のためなんだ。幼い頃から可愛がってくれている祖父が肺がんを患っていてね、三年もつかどうか……。祖父は俺が病院を継ぐのを楽しみにしていた。それと同じくらい俺の幸せを望んでいるんだ。愛妻家だった祖父は結婚が最高の幸せだと思っている。そんな祖父を安心させたいんだ」

 高清水先生が早く結婚したい理由に、正直驚いた。てっきり両親に結婚しないと病院を継がさないとか、周りからの圧力がすごくて、それを回避するために結婚したいものだとばかり……。
 でも三年という期限付きなのにも、これで納得がいった。

「私も両親が亡くなってから、ひとりで私を育ててくれた祖母を安心させてあげたいんです」

「そうだったのか」

「はい」

 さっきまでは早く断ってほしいと思っていたけれど、彼の事情を知ってしまった今はそんなことを思えない。
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