3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 テーブルに並んでいるのは、ハンバーグに唐揚げ、マカロニサラダにコーンスープ、さらには生春巻きとある。

「すみません、なんか作りすぎちゃって」

「いや、俺は嬉しいからいいよ。ただ、全部は食べられる自信がないな。残ったら明日の弁当に回してくれ」

「わかりました、ありがとうございます」

 ふたりで手を合わせて、まずはハンバーグから食べる。やっぱり野々花の作るご飯はどれも美味しくて、次々と箸が進む。

「あの、実はですね……デザートにシフォンケーキもあるんですが、食べられそうですか?」

「えっ?」

 帰宅後、この大量のごちそうだけではなく、ケーキまで焼いてくれたのか?

「食べられるけど……今夜は本当にどうしたんだ?」

 逆になにかあったのではないかと、変に疑ってしまう。すると野々花は気まずそうに目を逸らした。

「それは……ただ、その、理人さんにたくさん食べてほしくて。こうして理人さんに私の手料理を食べてもらえるのも、あと少しじゃないですか」

 徐々に声を小さくさせながら呟く野々花に、変な焦りを覚える。
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