３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
　脳裏に浮かんだのは、日中見かけた鈴木と一緒にいる時の姿。あの時の野々花はとても楽しそうで、自然体だった。こんな風に強張った顔はしていなかったよ。
　そう思うと、口が止まらなくなる。

「うちの鈴木とずいぶん仲が良いようだな。あいつと付き合っているのか？」

　勢いそのままに聞くと、野々花は目を見開いた。

「なに、言って……！　鈴木君はただの友達です。付き合ってなんていません！」

　慌てて否定するところが、ますます怪しく思えて苛立つ。

「本当に？　いつも一緒にいるし、楽しそうじゃないか。それに友達というなら、距離が近すぎる。あれでは周囲から野々花が鈴木と浮気していると誤解されるぞ？　結婚している間はお互い浮気はしないと約束をしたはずだ」

　思うがままに言うと、野々花が鋭い目を向けた。

「鈴木君とは理人さんと結婚する前から今の関係を続けてきたんです。それは今も変わっていません。それなのに浮気しているなんて思われるわけがないじゃないですか」

　いつもより声のトーンが低いことから、野々花が怒っているのが伝わってくる。でもそんなに怒って必死に否定するのは、事実だからではないかと変に勘ぐってしまう。
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