3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 戸惑う野々花の手を引き、思いっきり抱きしめた。

「抱きしめられたらどうする? 野々花に俺を押し返す力があるか試してみろよ」

 意地悪なことをしているってわかっている。でも野々花にはちゃんと自覚してほしい。鈴木がもし野々花に好意を寄せていたのなら、理性が保てなくなる時がくるかもしれない。そうなったらどうするんだ?

「す、鈴木君はこんなことしません」

 胸の鼓動を速くさせながら、まだ鈴木のことを信じている野々花に醜い感情が沸き起こる。

「野々花がどれだけ鈴木を信用しているのかわからないけど、男の鈴木に身体を押さえられたら、野々花に為す術などないんだよ」

 ゆっくりと身体を離して彼女の顔を覗き見る。すると野々花は頬を真っ赤にさせていた。

 ほら、抱きしめられただけでこんなにも可愛い顔をするんだ。今の俺のように鈴木が野々花を好きだったら、簡単に理性などなくなるさ。

 彼女の両頬に触れ、唇を奪った。

 初めてのキスは触れるだけの口づけ。だけど、唇を伝って彼女の熱が伝わってきて、胸がギュッと締めつけられる。

 瞼を開けると、野々花は瞬きもせずに驚き固まっていた。

「こうやっていきなりキスをされたら、拒めないだろ?」

「……っ」
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