3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「元カレと別れていて高清水先生と結婚するって聞いた時は、すごく後悔したよ。元カレとうまくいっていなかったなら、俺が奪いにいけばよかったって。それでも泉が幸せだと言うから、想いを抱えたまま泉の幸せを願おうと思っていた。それなのに、契約結婚だったなんて……っ! その相手は俺でもよかったよな?」

 今にも泣きそうな顔で聞く鈴木君に、胸がギュッと締めつけられる。

「おばあちゃんを安心させるためだけに結婚したかったなら、どうして俺を頼らなかったんだよ」

 今の彼を見て好きでいてくれたなんて気づかなかった、知らなかったなんて言えない。だって私は気づかないうちに鈴木君のことを傷つけていたのだから。

「本当に後悔してもしきれないよ。……それでいて、強引に泉を奪う勇気がないから余計に自分自身に苛立つ。だったらなんでこうやって告白なんてしているんだよって」

 自傷気味に笑う鈴木君に欠ける言葉が見つからない。

「それは高清水先生に気づかれたのが悔しいけれど、あの人にはなにもかも勝てないとわかっているからかもな」

 そう言って鈴木君は私から離れた。
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