3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「ごめん、泉を困らせるつもりはなかったんだ。ただ……俺の気持ちを知っていてほしくなってさ。これ以上後悔したくなかった。それと勝手に好きでいることを許してほしい」

「鈴木君……」

 彼の気持ちは痛いほど理解できる。私だって後悔したくないから理人さんに告白しようと決めていた。
 それに振られたとしても、そう簡単に好きって気持ちは消えないと思うから。

 返事に困っていると、鈴木君は「送る」と言って先に歩き出した。

「あっ……」

 慌てて私も後を追いかけるものの、さっきみたいに隣に並んで歩くことができず、彼の半歩後ろを進む。

 鈴木君に好意を寄せられていたなんて、全然気づかなかった。私、今まで鈴木君にどんな話をしていた?

 元カレの時も理人さんの時も、相談していたよね。彼はどんな気持ちで私の話を聞いて優しい言葉をかけ、励ましてくれたのだろう。
 鈴木君の気持ちを考えると、胸が圧し潰されそうなほど苦しくなってしまった。


 それから鈴木君が実家まで送ってくれたけれど、その記憶がない。気づいたら朝になっていて、久しぶりに実家の布団の中で朝を迎えた。
< 192 / 255 >

この作品をシェア

pagetop