3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「俺もまた泉と友達に戻りたいと思っている。……でもさすがにすぐには無理そうだ。悪いけど、休憩もしばらく一緒に過ごせそうにない。二岡には仕事が忙しいとか適当に誤魔化してくれる?」

「……うん、わかった」

よかった、鈴木君もまた元の関係に戻りたいと思ってくれていて。もし友達をやめたいと言われたらつらかったもの。

「あのさ、最後にひとつだけ言わせてもらってもいい?」

「う、うん」

 なんだろう、最後に言いたいことって。やっぱり友達に戻るのは難しいかもって言われちゃう? 変に緊張してしまう。
 そんな私に対し、鈴木君は目を細めた。

「泉を好きになれて幸せだった。ありがとう、俺と出会ってくれて」

「そんなっ……」

〝ありがとう〟だなんて――。それを言いたいのは私のほうだ。

「鈴木君、私のことを好きになってくれてありがとう。私がこんなこと言える立場じゃないけど、鈴木君には幸せになってほしい」

 残酷なことを言っているとわかっている。それでも私を好きになって幸せだったなんて言われたら、言わずにはいられないよ。
 鈴木君は目を見開いた後、クスリと笑った。
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