3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
『条件⑥ 恋愛感情を抱いてはいけない』
 寒さを感じて目を開けると、身体中が痛い。それも当然だった。リビングのテーブルに突っ伏して眠っていたのだから。

「やだ、ここで寝ちゃったんだ」

 テーブルの上には、理人さんに向けたメモが置かれたまま。立ち上がってキッチンの冷蔵庫を開けると、中には理人さんのために作ったハンバーグが入ったままだった。

「昨日、帰ってこなかったんだね」

 冷蔵庫からハンバーグの皿を取り出す。
 カフェで散々泣いてから、ふたりで暮らすマンションに帰ってきたのは十九時過ぎ。いつもだったら理人さんも帰宅している時間だったにもかかわらず、部屋の中に彼の姿はなかった。

 きっと遅くなるだけで帰ってくるはずと信じて夕食の準備をして待っている間に、そのまま寝てしまったようだ。

「お弁当に入れていこうかな。あ、その前にシャワー浴びないと」

 入浴中に帰ってきたらと思うと入ることができなかったんだ。

 急いで軽くシャワーを済ませ、ハンバーグや常備菜などをお弁当箱に詰めていく。
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