3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 当然理人さんもチームに入っており、第一助手としてオペに挑む彼は今、その準備に追われているとさっき鈴木君から届いたメッセージで知った。

 それをここに来る途中に奈津希に伝えると、じゃあ当分は一緒に食べられないんだねと言いながら寂しそうだった。教えてくれた鈴木君には感謝だよ。

 オペを控えているから理人さんは昨夜、帰ってこなかったんだ。大変な時にメッセージを送らなくてよかった。

 昨日から私と奈津希は食堂ではなく、中庭でご飯を食べていた。いまだに理人さんと渡部さんの噂で病院内は持ちきりだった。

 さっきも奈津希とここに来る途中、外科の看護師たちに声をかけられた。

『渡部先生って医療機器メーカーの社長令嬢で、医院長と渡部先生の父親が親友同士なんでしょ? 医院長は高清水先生と渡部先生を結婚させたがっているって聞いたけど、本当なの?』

 初対面にもかかわらず、いきなりそんなことを言われて驚き固まってしまった。それに私も初めて聞く話だったから。

 私の代わりに「プライベートなことなので話せません」と答えてくれた奈津希が一緒にいてくれてよかった。

 私ひとりだったら、なにも言えずにその後も延々と質問攻めに遭っていたと思う。
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