3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「野々花が幸せになってくれたら、私も幸せになりたい!って気持ちが強くなると思うから、私の幸せのためにも頑張ってよね」

 奈津希らしいエールに笑みが零れる。

「ありがとう。じゃあ奈津希の幸せのためにも頑張るね」

「うんうん、期待しているよ」

 ふたりで笑い合った後、休憩時間が残りわずかになっていたことに気づき、慌ててご飯を食べて戻った。

 この日の夜も理人さんは家に戻ってこなかった。それでも、もしかしたら帰ってくるかもしれないと思うと、なかなか寝室に行くことができず、ソファでウトウトしている間に眠ってしまった。


「さすがに身体が痛いな」

 歩いて病院に向かう途中、昨夜はソファで変な姿勢のまま寝たおかげで身体のあちこちが痛い。

 これでほぼ一日中座りっぱなしの会計窓口業務は、なかなかつらいものがある。

 信号の待ち時間に身体を伸ばして少しでも痛みをとる。病院の敷地内に入り、職員の玄関口に向かっていると前を歩くふたりの人物をとらえる。

「待ってよ、理人」

 白衣姿でコンビニの袋を手に早足で進む理人さんの後を、同じく白衣を着た渡部さんが追いかけた。
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