3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 これまで作ったたくさんの料理の中から、とくに理人さんが美味しいと褒めてくれた料理を作る予定だ。もちろんその中に紅ショウガ入りの厚焼き玉子も含まれている。

 材料の仕込みだけをして、後は明日、仕事から帰ってきたら仕上げをすればいいだけの状態にして、この日は早めにベッドに入った。

 寝る前に悩みに悩み、理人さんに【突然家を出てすみませんでした。今はマンションに戻っています。今夜は帰ってこられますか? 理人さんと話がしたいです】とメッセージを送って。


 次の日の朝、いつもと同じ時間に目を覚ましてすぐにスマホをチェックした。すると理人さんからメッセージが届いていた。

「きてた……!」

 歓喜に沸きながら震える手でタップしてメッセージを目で追う。

【俺も野々花と話がしたい。できるだけ今日は早く帰るから待ってて】

 絵文字ひとつないメッセージなのに、彼が送ってくれたと思うだけで嬉しくて涙が零れ落ちた。

「よかった。帰ってきてくれる」
< 217 / 255 >

この作品をシェア

pagetop