3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「それじゃ今夜は明日のオペに備えて泊まっていきなさい。なんでもお前、ここのところ患者の容態が心配で病院で寝泊まりしているそうじゃないか」

「明日は大切なオペなのに、しっかり寝ないでどうするの。夕食は? まだならすぐに作らせるから待ってなさい」

 俺の身体の心配をしてくれる両親もまた新鮮で違和感を抱いてしまう。だけどそれが心地よいと思うのは、野々花と結婚してから家族という存在に幸せを感じることが出来たからだ。

 それから宿直の医師に病院には戻らないことを伝え、久しぶりに実家に泊まることにした。

俺に付き合った両親とともに軽食をとった。言葉数は少なかったけれど、家族そろって団らんをしたのは久しぶりでまるで子供の頃に戻った気がして楽しい時間を過ごした。


 次の日、手術着に着替え終え、送られてきた野々花からのメッセージを最後に見た。

「頑張ってくるよ、野々花」

 今日のオペが終わったら俺から連絡をしようと思っていたから、昨夜のうちに野々花からメッセージが送られてきてとても驚いた。

 今日は家に帰れば野々花が待ってくれていると思うと、さらにやる気が漲ってくる。

 ロッカーにスマホをしまい、更衣室を後にした。

「おはようございます、高清水先生」

 廊下を進んでいると背後から声をかけてきたのは鈴木だった。
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